わたし、男の人が怖いの

ヒメシエスタのエリです。

ヒメシエスタのテーマは、「女性の性の肯定と解放」です。
そんな大げさな……って思うかもしれないけど、私とリョウは本気でそう思っているんですよ。
自分の性を肯定できなくて、自信を持てなかったり、悩んだりしている女性は、とても多い。
残念なことに、「女性だから」「女の子だから」という理由だけで、嫌な目に合うこともある。
他人からみれば些細なことかもしれないけど、何年経っても忘れられずに、苦しんでいる女性もいらっしゃいます。
忘れられないのも、前に進めないのも、当然だと思います。それは、特別なことじゃない。

でも、誰にも言えない事で、ご自身の中で、「特別になってしまっていること」が問題なのだと思います。

私、男の人が怖いの

私がそう思うようになったのは、ある女友達の話がきっかけでした。
彼女は大学時代の同級生。就職してからも、お互いに連絡を取り合っては一緒に飲みに行っていました。
どちらかと言えば、人見知りで引っ込み思案な私と反対に、彼女は好奇心旺盛で、とりあえず何でもやってみるタイプ。
危なっかしくて、どこかほっておけないところも、彼女の魅力の一つでした。
女同士、会えば必ず恋愛の話になります。

「どう最近は?」
と私が水を向けても、彼女の答えはいつも同じ。
「うーん、気になる人はいるけど、付き合いたいとまで思わないのよね。
仕事が忙しくて時間が無いし。
一人のほうが気楽だし、男って束縛してきたりして、面倒じゃない」
彼女はそう言って、短く切りそろえた髪をかき上げました。

知り合ってからずっと、彼女から彼の話を聞いたことはありませんでした。
かわいいし、魅力的なのに、もったいないな、忙しいのかな、とおせっかいなことを思っていました。

就職してしばらくたった頃、彼女とたまたま休みがあって、一緒に旅行に行ったことがあります。
気の置けない女友達との温泉旅行。おいしいごはんを食べながら、「大人になってよかった」って、しみじみと思ったものです。
夜、布団に入ってからも、いろいろなことを話しました。仕事のグチや、将来の夢、家族のこと……。
結婚や子どもについて話が及んだとき、彼女がポツリと、

「私、一生結婚できない気がする」
と言ったんです。
「どうしてそう思うの?」
「……私、男の人が怖いの」
彼女はそう言って、私のほうに寝返りをうちました。

中学生の頃に、先生からいたずらをされて、それ以来男性を信用できなくなったと。
彼女が話してくれたのは、『いたずら』という軽い言葉では、とても済まされないくらい、ひどい内容でした。
私が「そんなの犯罪じゃない。許せない」と怒ると、彼女は悲しそうに首を振りました。

「当時は、それほどイヤだと思わなかった。先生のことが好きだったし、
先生が喜んでくれるのがうれしかったから。
先生と秘密を共有している、私は特別な女の子なんだっていう優越感もあった。
でも今思えば、それは、先生に『そう思わされていた』の。『お前が望んだことだ』と。
それに、このことはずっと忘れていたの。
忘れなければ 、壊れてしまいそうだった」

と彼女は言いました。

「今、ここで起きている」のと同じ

「社会人になりたての頃、職場の飲み会で、上司からちょっとエッチな冗談を言われたのよね。
相手も酔っていたし、大人なんだから、笑って流せばいいってわかってはいたんだけど、
自分でも訳がわから無いくらい、猛烈に怒りが沸いてきて、相手を怒鳴りつけそうに
なっちゃったの。これはマズイと思って、トイレに逃げ込んで、一息ついたら、
ボロボロ涙が出てきた」

そのとき、先生との出来事がありありとよみがえったと言います。
教室のほこりっぽい空気、グラウンドから聞こえる運動部の掛け声、コーヒーとタバコの交じり合った先生のにおい。
それは過去ではなく、「今、ここで」起こっているも同然でした。
それからというもの、頻繁にフラッシュバックが起こるようになったと言います。

「時間が止まっているみたい。私は永遠に14歳の女の子のままなの。無力で、混乱して、
途方にくれている。
とても怖かったし、本当はイヤだった。でも、どうしたらよかったのか、今でもわからない。
考えても仕方がないってわかってる。もう終わったことだし、忘れなきゃいけないって。
でも、ダメなの」

私は彼女になんて言葉をかけてあげればいいのかわかりませんでした。

あなたは、私だったかもしれない――。
教室で震えていた女の子が、私であった可能性も十分にありうる。
とても他人事とは思えませんでした。

私は、黙って彼女の手にふれ、そのまま子どもみたいに手をつないで寝ました。彼女のしんと冷え切った手の感覚は、今でもはっきりと覚えています。

東京駅で別れた後、彼女から
「あのとき、怒ってくれてありがとう。手をつないでくれて、うれしかった」
というメールが来ました。

エリからあなたへ

スタッフリョウも、「男性が怖いと言う女性は、想像以上に多い」と言っていました。

はっきり自覚されていないまでも、恋愛やセックスに何となく嫌悪感を抱いていたり、自分が「女性」であることをすんなりと受け入れられなかったり。
顕在化されていないけれど、そのような女性は、たぶんとても多いのだと思います。
今、このブログを読まれている方の中にも、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

知っていただきたいのは、どうしたらいいのかわからず、途方にくれているのも、過去に捕らわれて、前に進めないのも、あなただけではないということ。
答えはないかもしれないけど、一緒に考えることはできるということ。
余計なお世話なのしれませんが、この世の中に一人くらい、「おせっかい焼き」がいてもいいのではないかな、と思っています。

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